昨今のスケートボードの世間一般への認知により、結果として各地にスケートパークが次々誕生しているというのはご存知の通り。ひと昔前では完成すればたちまち全国に知られたであろうモンスター級のパークも、今や毎月のようにどこかしらでオープンラッシュが続いており、次のスケートトリップの行き先を悩ませる種となっております。それはたとえ「こんなところにスケーターなんているんすか!」みたいな地方のこれまた辺鄙な場所の物件にも軒並みスケーターが集まっている様子が伺えます。最近何より驚いたのは、自然しかないと聞いていた沖縄・西表島にもコンクリート製のパブリックパークができたというのだから、時代は大きく変わったものです。
比較的新しい部類の、立派な作りをした遠方のパークにもいくつかお邪魔したのですが、どこもみんなのびのびとスケートしている印象。バッチバチのカマし合いも楽しいですが、そればかりではさすがに疲れます。特に都内近郊あたりのパークではチビっこ同士のカマし合いみたいのが日常茶飯な場所もあり、それはもちろんコンテストを見据えた特訓だったりするのですが、楽しみが置き去りとなったような風景が嫌でも目に入ってくるのです。だからなのか、とある人里離れたパークで見たキッズたちなのですが、みんなでひとしきり滑ったかと思ったら「目標をメイクしたからカブトムシ捕まえに行く〜」と茂みの方へと遊びの場を変えて楽しむ様にほっこりさせられたのです。監督気取りの親によるリモコン操作のもと、どこか虚ろな表情でスケートする子供や、コンテストで高得点を得られる指定トリックの量産マシンとなるべく刷り込まれた子供とはまるで大違い(笑)。
とは言え、そんな時代からもまた少しずつ変わりつつあるのかな。コンテストシーン以外でも目立った活躍を見せる日本人が急増中。世界の名だたるスケートカンパニーからフックアップされ、チームの一員として行動を共にし、結果を残しています。コンテストキラーであることが必要条件とはされていないはずだし、必ずしもそうなるように育てられたわけではないはず。しかしそんな彼ら彼女らの動きもまた、今後キッズたちに向けた新しいお手本となっていくはずです。
コンテストを否定するつもりはありませんが、スケートボードたるもの楽しく遊ぶためのものであり続けてほしい。「結局はそれこそがスケートシーンにとっても、子供らにとっても健全でいいんじゃないの?」と思うところです。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)