スケートボードが紹介される機会が増え、地域の催し物で体験することができるようになり、レッスンなんかも容易く受けられるようになったりと、スケートを始めるきっかけがそこらじゅうに転がっています。自分がビギナーの頃のスケートボードとはなんとなくワルそうなイメージがあり、そのため足を踏み入れるのに敷居のようなものがありました。そのせいもあってか、スケートボードをやっているという特別感に浸ることができたんじゃないでしょうか。現在は良くも悪くも、以前からは想像のできないような世界へと変わりました。
身体を動かし、それが上達へと繋がり、「狙ってたトリックができた」だの「イメージ通りにならねぇ」だの一喜一憂するのは、自分にとってのスケートボードの魅力であることはビギナーの頃から今も変わっていません。知り合う仲間も自然と増え、かつては雲の上の存在でしかなかったスケーターと今では自然に接することができたり、逆に自分のことをそのように考えてくれていた人とも楽しい時間を共有できたりもしてます。そんな「楽しい!」を自分に提供してくれるツールでもあるスケートボードも、それだけではないものだと次第に思えるようになりました。
それはズバリ「スケートボードは人生の教訓を与えてくれる」ということです。なんつってもこの世界でわかりやすく評価されるのはNBD(Never Been Done)、つまりは誰もなし得なかった、もしくは考えつくことのなかったトリックだったりします。これって実はスケートボードとか関係なしに、一般社会においても言えること。ビジネスをはじめアートに学問、製造業、サービス業…どんな分野においても言えますが、誰もやっていないことを最初にやることがイケてること、その質が高いほど評価されるのだと。NBD トリックがスケートシーンのレベルを絶えず上げ続けてきたように、それらが社会の、僕らの生活のレベルを上げていくことに繋がるのですから。
スケートを何年も続けてきて理解し始めたこんなこと。理想とするスケーター像には遠く及ばない自分でありますが、スケートボードと向き合うことでその教訓を得られたことに関しては自分を褒めてやりたい。頭のいいスケーターなんてのは早い段階からその教訓に気がつき、スケート以外のことでもそれを実践しどこかで社会貢献していることでしょう。そして自分もいつかはそうありたいと思うところ。そんな気持ちを投影するがごとく、スケートボードに乗ってNBDを思案している今日この頃っす。スケートレッスン参加を機にハマっちまった…なんてアナタも、スケートボードから得られるレッスン(教訓)ってとんでもないモンだぜって、心の片隅にでも置いといてくだせーな。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)