ビデオデッキが家になくても、YouTubeで軽く調べただけでVHSテープでリリースされた過去の作品が出てくるのは当たり前になりました。各ブランドや制作者のアカウントからオフィシャル公開されているのが観れるのであればそれに越したことはありません。単に個人が勝手にアップしちゃってるヤツだって、それはそれでありがたく拝見させてもらっている常日頃であります。ですが、オンライン上にはアップされていないであろうレアな作品を含め、現物のVHS作品を先輩からいくつか借りておりました。いや、正確に言うと1年半ほど借りパクしておりました(長々とスミマセン)。現物の何がいいかって、ジャケットや本体に印刷されているアートワークだったり、そこに書いてある文字から情報が得られたり、たまに封入物があったりと、そんな映像以外の要素が面白いということ。コレクションがズラっと並んだときの見た目もまたグッド。今やフルレングス作品もオンラインのみの公開が増え、DVD作品は「いずれ消滅するのだろうか…」と思うと少し寂しい気持ちです。
僕の部屋にも過去から現在に至るまでの諸作品がVHSとDVDで並んでいます。あらためてそれらを見てみると僕が借りパクしたであろう作品がひとつ。10代の頃にアンセムとしていたTWSの『In Bloom』なんですが、はたしていつ、どこで、誰から借りたのか記憶にございません(借りパクのくせにアンセム化すんじゃねー)。
また同時に借りパクされたままであろうものもいくつか。確かワンコインで買った記憶のあるCreature『Born Dead』。ホラー色濃厚、スケートシーンにおいてダークサイド的な存在感に憧れたり、インラインスケートを毛嫌いするサム・ヒッツの荒くれ野郎っぷりに恐れおののいたりしたものです。有名・無名問わず多数登場するヘッシュなフレンズも見どころでした。同じくおそらく借りパクされたまま消息不明なのが今はなきシューズブランド、Voxの『Black And Blue』シリーズ。このオマケDVDが欲しくてシューズを買ったりしていました。前身ブランドである88 Footwearの頃からのロックなイメージを継承しつつ、ライダー層もより幅広くなっていました。印象に残るところは突然リッキー・オヨラが加入し、収録されていたショートパートではBGMにハードコアパンクバンド、G.B.Hの曲が使用されていたりと、これまでのイメージを見事にひっくり返されたものです。
しかし捨てたはずのないこれらDVD作品、いつ、どこで、誰に貸したのかも記憶にございません。借りた本人もとっくに忘れ、今頃押し入れの奥に眠っているのでしょう。今さら返せと思うこともありません。しかし願わくば捨てずに保管してくれてると嬉しいなぁ。10年後20年後、いや30年後でもいいか…。DVDがとっくに昔のフォーマットとなっているはずのその頃に、過去の作品として発掘され、後世のスケーターらが目を輝かせるのを願うとしましょう。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)