今日の女性スケーターの数やスキル、そして活躍ぶりには常日頃驚かされるばかり。アレックス・ホワイト執筆による、2019年に世界で最も活躍した女性スケータートップ10という記事がThrasherで公開されました。「そのアレックス・ホワイトって誰なのよ?」と少し調べてみたところ、ロサンゼルス出身で2000年代初頭にプロとして活躍。女性スケートシーンを盛り上げる活動を続ける中心的人物で、その経験や見識から「アメリカのテレビ局NBCにおける東京オリンピックのスケートボード・コメンテーターを彼女に!」という声も高いのだとか。若き日にはストリートで滑ったり、コンクリートセクションをDIYしていたところ御用になるという、実にリアルなスケーターライフを謳歌してきたようです。
で、彼女の発表したトップ10女性スケーターの内容がまた興味深く、男性陣も注目すべきだと思ったわけです。女性という括りを広げ、レオ・ベイカー(性別の変更前の名前はレイシー・ベイカー)をはじめとする性的マイノリティ勢にも配慮し、「ウィメン&ノンバイナリー」といった形で発表しているのもこのご時世、というか新しい動きを打ち出してていいなと。そしてそこでは去年コンテストやストリート、良質ビデオパートに至るまで大きな活躍を残した10人プラスαのスケーターが、ユーモアに富んだ冗談も交えながら紹介されています。今後さらなる飛躍が期待される日本人スケーターも挙げられているのも注目したいところ。なんというか、毎年SOTYの称号をかけたバトルを傍観する方も多くいるはずですが、そのノミネートの枠に入り込む女性スケーターが少なければそもそも男女同じ土俵でバトルするのもフェアではないかとも思います。今回のトップ10の発表は、もはや野郎共たちだけのものではなくなったスケートシーンを象徴するアクションだと僕は感じました。
男子も顔面蒼白の滑りを見せてくれる女性スケーターの中でも、やっぱり「どいつがイケてるか」ってのがあることでしょう。このトップ10には残念ながら紹介はされていなかったものの、僕がイケてると思うのはハナ・ザンジ。2016年のVans Park Seriesで優勝を果たしていますね。一般的な女性スケーターみたくスリムでお洒落な感じ…とはいかないタトゥーとピアスが目立つパンクな出で立ち。新旧織り交ぜたトリックチョイスはまさにヘッシュでアメリカンなトランジションスケーター。もはやガールズというよりは「オッサン」な滑りと言った方がしっくりくる(褒め言葉だよ)。当時画面越しに中継を観ていて面喰らったものです。
ちなみにとあるパイセンスケーターが「滑りが男っぽいって言われるのって、女からすればどうなの?」って少しブッ込んだ質問をしたらしいのですが、返ってきた答えは「それ最高の褒め言葉!!!」だったそうです。う〜ん、女の人を褒めるのはスケートをしてる時としてない時で方法が変わってくるってことか。男性諸君、どうぞご参考までに。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)
https://www.youtube.com/watch?v=AVQNSG_CSOw