「スケボー禁止」を訴える看板なんてのは、ちょっと具合の良さそうなスポットにはたいてい設置されています。人通りも多くないし近隣に住民がいるわけでもない…そういった誰の迷惑にもならなそうな場所ですら禁止看板を見るのです。だからとてその言いつけを守るわけでもなく、そこでスケートをしては怒られたり、場合によっては大きなトラブルになったりもするのでありますが。
つねにスケーターという視点に立っているが故にスケボー禁止看板もそれだけ目に入ってくるのですが、街中のそこらにはスケートに限らず実に多様な禁止看板が設置されていることがわかります。「釣り禁止」「落書き禁止」「たむろ禁止」。なんともスケーターのみなさんにも引っかかることの多そうなものも多いですねぇ。というのはさておき、「●●禁止」っての、なんだか増えたよなー。今じゃ公園で子どもたちがキャッキャしたり、ボールで遊ぶのも禁止されたりする世の中になってしまいました。最近のニュースだとこの10月からは渋谷の繁華街で路上飲酒も禁止に。旧宮下公園で毎日のようにスケートしていた頃。パークの閉まる22時以降はローカルたちは決まって近くのファミ前で終電間際まで飲んではダベり、スケゲーが始まったり、賭けをしてみたりというのがいつもの流れだったのですが、そういったのはどんどん一掃され、クリーンな街へと変わりいくのでありましょう。すでに「昔はこんなことやってたよ」的な過去の武勇伝になりつつあるのがちょっと悲しいす。何かを禁止することで得られるメリットがあることも確かなのですが、なんだかちょっとつまらない。
実際に「●●禁止」と明言化される以外にも、ちょっと過激な言動をし、それをSNSやYouTubeでアップしようものなら一般ピープルでも大炎上、社会問題へと発展する可能性が。そのためつねに何かしら気にせざるを得ないのが実情です。ひと昔前のバラエティ番組では笑って許容されていたはずのものも、このご時世では放送できないのが実に多いこと。スケートビデオに使われる映像だって、ところどころモザイクなんかかけられたりしてね。窮屈な世の中になっていくのを肌で感じてなりませぬ。
しかし憂いていてばかりでも仕方がない。せめてスケボーくらいは、時にそこらの禁止看板に背き、自由にさせてくれてもいいじゃない(当然ですがマナーやモラルといったものは守った上で)。禁止事項の多くなったこの社会に、「禁止ばかりじゃ窮屈でつまらないでしょ、もーちょい上手く楽しくやろーぜ?」って、無言のメッセージを放つのがスケーターの裏の役割かと思ったりしてます。スケーターって基本アホだけど、ちょっと先を行っているよね。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)