9月がやってきました。今年は夏休みが短縮されたり、そうでなかったところも小・中・高校においては2学期がスタートしているはずです。今から15〜6年前の僕は高校生、その2学期に開催される学園祭を待ち遠しくしておりました。生徒が主体となりクラスごとにオープンする屋台などは「どのクラスが一番イケてんのよ」ってスタイルの出し合い、そして屋台で稼いだお金でこっそり開催される打ち上げなんかも楽しみで。何より近隣の高校から遊びに来る女子たちと仲良くなれる滅多にないチャーンス! 当時と言えば学園祭が舞台のドラマ『WATER BOYS』がヒットしていた頃。ウォーターボーイズならぬスケーターボーイ、張り切らないわけはございません。
しかしちょうど僕らの代から悲劇が。学校側から屋台の禁止が通達され、クラスでの展示 or 舞台のみしかできなくなったのです。これには生徒側も大ブーイング。撤回を求める署名や学園祭ボイコットの声まで上がっていたのですが、結局生徒でなく先生主体の学園祭が開催される流れとなりました。そうと決まると、自分のクラスでは何を展示するかという話になります。
「学校がこんなんなら、逆に超イケてない展示物でもやればイイんじゃない!?」
まさか自分の意見が通ってしまい、準備もテキトーに進めていきました。されど学校側の一方的なやり方に僕なりの「NO!」を突きつけたく思い、学園祭当日は自分ひとりボイコットを決行しました。無駄に抵抗し、学校を休んだところで他にすることもないので、当時僕を連れ回してくれた先輩らとストリートへ撮影に向かうのでした。「今日は準備も後片付けもオレは参加しねーぞ、ざまぁ」。他の仲間が学園祭でわちゃついているであろう頃、そこから抜け出すのは撮影をより特別なものにするのでした。その日トライしていた下りレッジでFs180ノーズグラインドをメイクした瞬間の快感といえば筆舌に尽くしがたいものだったと記憶しております。後日聞いたところによると、なんだかんだ言って学園祭は楽しいものになったようでしたが…。
さきほど「超イケてない展示物」と書きました。それは具体的に僕の故郷である沖縄の海と空をイメージした青いスライムを作り、型に流し込んで「琉球スライム」と銘打っただけのかなりお粗末な展示物(よくそれでOKが出たものだ…)。言い出しっぺのくせにロクに準備も片付けもしない、そんな僕を非難するでもなく笑ってくれたクラスメイトの面々とは今なお濃い付き合いが続いております。なんと選挙に当選し市議会議員になり、スケートパーク建設に前向きなスタンスでいてくれるヤツだっているのです。当時のクラスメートはいい仲間かついいライバル。おら、そんな彼らにも一人前だと認められるぐらいのスケーターになりたいっす〜。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)