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戦国時代突入
──SHIBUYA 14

2022.12.23

 ハリウッドの16段、エルトロの20段(RIP)、リヨンの25段のようにスケートボードに関係のない健全な方にとってはただの階段、しかし世界のスケート狂が「いつか我こそは」と標的にする階段が存在します。それらの階段、いやステアでトリックをメイクするのはおろか、トライする(実際にテールを叩くってことね)ことすら常軌を逸するレベルなのは、言うまでもないところ。そのようなステアで(ステアに限らずだけど)トリックのレコードが更新される度に世界が湧いたり度肝を抜かれたりと、そんな様子を長年見てきました。
 日本にもそのようなステアは各地に点在しております。自身が拠点を置くローカルの名物ステアのひとつやふたつは、最近増えてきた(?)ストリートに無関心…というかアンチすら唱える「パーク専科」でもない限りはすぐに答えることができるはずです。
 長い時間をかけて少しずつトリックがアップデートされていくのが世の常ですが、最近になってようやく筆おろしがなされ、以降急速にヴァージョンアップがなされているステアがあります。それは「渋谷の14段」。渋谷駅から徒歩5分ほど、日中〜夜にかけては人通りも途切れないので深夜にしかトライすることができません。大型の雑居ビルのエントランスとして鎮座するそのステアも、スケーターが攻め始めたのはここ数年のこと。僕の記憶を遡ると確かウォルシュ健がノーリー(メイクならず、しかしステアはおそらくこれにて筆おろし)、オーリー(これにて歴史の幕開け。すみません、どなただったか失念しました…)が数年前に起きた突破口。「オーリー出たからその次は180? フリップとか出たらヤベェっぺ」なんて囁かれてました。しかし沈黙すること数年、突如想像の斜め上をいってくれたのが池田大亮。ローカルクルーNewsideの『N2』ではBs 360で殺害完了。さらに弟の池田大暉がToy Machineにチーム入りし、ビデオ『Vaccine』ではハードフリップ1発のみの映像ながら多くの方が失禁したことでしょう。兄弟揃っての快挙に全米が涙したとか。
 なんでも最近これに負けずとも劣らないトリックが撮影済みとの噂が流れてきたと思ったら、ヘッシュ路線ではボンレスなんかもやられたりして(しかもインスタ)、いよいよこのスポットも腕を試しに来るスケーターによる戦国時代の突入を感じてなりませぬ。そうそう、この雑居ビルにはスケートしてると絡んでくる怖いオジサン…いえいえ業界きってのスケート好きが事務所を構えていたりするので、ワンポイントアドバイスとして。おちゅでーす!

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 



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