スケーターのコミュニティというものは実にユニークな人間関係から形成されているなぁ、と思うことが昔から多々あります。人種や性別に関して言えば、それはどんなコミュニティにおいてもそれほど大きく異なってくるものではないと思いますが、それを構成する年齢層の実に幅広いことと、それによって本来ならば自然形成されるはずのコミュニティ内での上下関係(リスペクトは別)の希薄さがなんとも独特で、僕個人としては、それは実に居心地のいいカオスです。
僕らは通常、適齢に応じて幼稚園なり保育園に通うことになるのですが、僕の記憶が正しければ僕はそこで初めて家族以外の人間との上下関係を知ったように思います。普段から無口でおとなしく、育児で親に面倒をかけることの少なかった(らしい)僕が、幼稚園の初入園の際わめき散らしてそれを頑なに拒否し、かなりの迷惑をかけたようです。今思えばそれは、これから訪れる上下関係という得体の知れない人間関係に相当ビビッていたのでしょう。
その後はなんだかんだとそつなく小中高をやり過ごしましたが、やはり年齢からくる上下関係を強要される場面は苦手というか拒否反応を示してしまい、部活動やら団体行事で青春を謳歌することのない、いわゆる落ちこぼれ的な立ち位置をキープし続けました。そんな中でスケートに出会い、かなり年上だけど「タバコ買ってこい!」とか言わない先輩や、年下のクソガキなのに「ジュース買って来て!」とか言ってくる後輩なんかと面白おかしく過ごす時がとても心地良さを感じることのできる場所となって今に至るのは、当然の成り行きだったようにすら思えます。もちろん、しっかりした上下関係があることで成り立つ立派な組織や団体があることは百も承知で、それを否定したりするつもりもありません。僕だってもういい大人ですから、時には上を立て、下に厳しく接することだってできます。だけどやっぱり居心地いいのが一番。例えば47歳と14歳のスケーターが街で楽しくスケートしてるところにおまわりさんが現れた時のこんなやり取りが好きです。
おまわりさん 「ここでスケボーは禁止ですよ」
スケーター 「すいませーん、すぐに移動しまーす」
おまわりさん 「ところでキミたちはどういう関係なの?」
スケーター 「友だちです。英語で言うところのスケートメイトです。マイメンとも言えます」
おまわりさん 「‥‥。そういうのいいから早く解散して」
最高でしょ
--TH (Fat Bros)