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老害の金言
──SNS育ち

2022.02.25

 若い女の子たちが踊っている動画が次々流れてくるのを微笑ましく(ヤらしく?)眺めているオジサン世代が増殖…ってTikTokがバズり始めた頃によく言われておりました。あれからわずか数年、TikTokのユーザー数は飛躍的に伸び、その勢力はもはや見逃せない存在となってきました。インスタグラムとはユーザー層が少し違うものであると認識しているのですが、それでも特に若い世代はみんな使っているツールのようであります。名の知れた某若手スケーターから聞いたところ、ここ最近の動向として「TikTokの●●さんすよね!? いつも見てますーっ!」ってな感じに声をかけられるのが増えてきているというのだから驚きです。そしてそこにはTikTokをSNSツールのひとつとして日常的に使う若年層と、「インスタは使うがTikTokはチョット…」というアラサー世代とのギャップもあるように思います。
 そんなTikTokの機能形態に被せるような形でリリースされたインスタグラムの機能といえばご存知、リールですね。見ず知らずの人の投稿が次から次へと手元の画面へ。暇があればスワイプまたスワイプ、気がつけば時間だけが…ってわかっちゃいるけどやめられない♪ そして時に自分の投稿も世界中の見ず知らずの人々の元へと流れていることもあるのでしょう。最近おふざけのつもりで撮影したラインを投稿したところ、謎のバズが発生。見ず知らずの方々からのイイねが数週間にわたり鳴り止まず、海外の方々を中心にいっきに500人以上のフォロワーが増えたのだから困惑…。とある若きスケーター曰く、その投稿の中で僕が着ていた服が目立つのと(だいぶ前に買った1000円の安物セーターだ)、特徴的なカバー画像(ふざけてるからね)が原因となりバズが起きたのではないかと。真相はわかりませんが、そんなこともあり最近ではインスタに疲れたって人も増えてきています。
 さらに懸念される事項がひとつ。ビデオやDVD、雑誌といった媒体よりもSNSを見て育ってきた若い世代が、SNS上のことにばかり注目し、その限られた一面でしかスケートボードを知らないという人がもの凄く多いということ。ビギナーはともかく、スケートシーンに身を置くのであれば最低限知っておきたい人物や事柄にまるで興味がないように感じることがよくあります。注目に値するイカした人物やブランドには間違いなく映像作品というものがあるはずです。スケート誌での登場があるはずです。そこにはSNS上の投稿とは一線を画した、本気汁120%の滑りやこだわりというものを色濃く放っています。編集や被写体の服、背後からも隠れたメッセージを発信していることも少なくありません。
 SNSの発達で、自分好みのスケーターの存在を知るのは容易なことになりました。しかし浅くかいつまむぐらいで、知っておくべきその真骨頂みたいなものがないがしろ、というかそこまで到達できていないのは寂しく思うところ。大したこと言えるような博識でもない自分ですが、スケートボードで爪痕を残し、自身を確立していきたいと考えるSNS育ちのみなさまに、老害の説教としてそのいくばくかでも理解してもらえたらと思うところっす。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 



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