そーいや最近めっきり聞かなくなった「スポンサー・ミー・ビデオ」。スポンサー・ミー・テープと言ったりもしました。自分も周りの仲間も年齢が増すにつれ、かつてほど精力的に動くこともなくなり、一方で自立した生活を送ることができることでスポンサーを必要とすることもなくなってきたからだろうか? いや、そんなこともなさそう。いま絶賛活動中の若手スケーターだって「どこそこのフィルマーと撮影してる」って話はよく聞くのですが、「スポンサー・ミー用に撮ってて…」みたいのは聞かなくなりました。
その理由は想像に難くありません。インスタグラムが当たり前のツールとして広まり、撮れた映像を簡単に公開できるようになったこと。インスタグラムのみならずYouTubeに映像をアップする敷居も低くなったこと。おかげで日本国内はもちろん、海外のブランドからもマネージャーやオーナーの目に止まるとそこからのやりとりでスポンサーを獲得できる時代になったのです。輸入代理店を通して「誰それを囲っといてくれ」っていう流れもあるようです。こちらから積極的に働きかけなくとも、ブランド側からアプローチをかけてくれる時代です。
以前は、そこらで滑っているだけでは業界人の目に留まる機会ってのもそうそうなく、つまりはスポンサーも獲得が難しいものでした。良くて最寄りのショップライダーになれるとか…。そこでスポンサー・ミー・ビデオなわけですよ。お気に入りのブランドやそれを扱う輸入代理店に撮った映像を送り、チェックしてもらう。ショップから輸入代理店へのひと押しなんかも経て、タイミングを見つけて実際にスケートセッションし、人となりも理解してもらえた上でようやくサポートにこぎつけられるといったところ。それでもサポートする側は日々多忙な業務の中で各地からビデオが送られてくるのだから、それらを逐一チェックできずってことも少なからずあったようです。そりゃそーだ、スケートを始めて間もない中坊が「スポンサードライダー」の肩書きに憧れて送ったギコイ映像は僕も観たりしたからね(笑)。
スポンサー・ミー用のパート。僕の場合は「自分ごときのレベルでスポンサーが欲しいなんておこがましい、いつかもっと上手くなってから…」と自信もなければ作ろうともしなかったのですが、「それはそれで1回くらいはトライすべきだったのかな」なんて今となっては思ったり。ワンチャンスポンサーをゲットすることで箔がついて今頃世界を飛び回ってたり…しねーか。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)