ここ数日連投されているSkate Shop Video Awards 2023の映像が気になりすぎて夜も眠れません…てのはちょっと盛りすぎですが、日々多忙の合間を縫って(これも盛ってる疑惑)、手当たり次第拝見させていただいております。全国津々浦々、さまざまな在り方で運営されているショップの名の下にアップされる、かっこよく仕上がったものから日常を捉えたチルなもの、笑いあり涙あり、ショップに集うローカルが多数出演するものから個人やひとつのスポットに焦点を当てたもの…そんな作品の数々。「ショップビデオ」というひとつの括りでもこれだけ多様な作品が公開されるのだから、改めてスケートボードの自由奔放さを感じます。
昨年から始まったこのSkate Shop Video Awards、僕は「すごくイイ企画だな」と影ながら応援しております。SNSでのバズやフォロワー数がどうの…といった風潮がすっかり強くなってしまった現在。それはそれでいいのですが、やっぱりスケートボードはSNS上でどうたらよりも、ひとつの映像作品を通して意見が行き交い、評価されることが重要視される文化であって欲しいと思うんすね。なのでSkate Shop Video Awardsにエントリーした作品からは、各地のさまざまな色やスタイルが浮き上がってくるように見えてうずうずせずにはいられませぬ。強調したいのでワンサゲン。それらを観て、さまざまな意見、評価されるべきなのがスケートボード。
この企画のビデオに登場ならず、寂しい気持ちの若いスケーターもきっと多いのかな。それはSNSなんて言葉すらなかった僕らが10代の頃、映像といえばスケートショップでしか売っていないVHSやDVDくらいしかなかった頃。その当時「自分もビデオに出てみたい、映像を残してみたい!」と思っていた気持ちときっと同じのはず。この気持ちをバネにスケート欲を高め、各地に足を運び、いろんな人と会っていく中で気がついたらまたいつかのSkate Shop Video Awardsだったり、他の映像作品に登場するうれしい機会が舞い込んでくるのかもしれません。
僕ら世代を代表するショップビデオといえば『PJ Ladd's Wonderful Horrible Life』になるのかな。ボストンの今はなきColiseumというショップのビデオで、タイトルにもある通りメインでフィーチャーされたのは今もハンパないスケートを続けるPJ・ラッド。それまでアングラに埋もれていたはずのスケーターが、この作品が世に出るや、驚異的な滑りで一躍世界から注目を浴びることとなりました。回り回って僕の家にもやってきたこのビデオ、毎晩夕飯を食べながら観ていたわけですが、今思うと一緒に観ていた(嫌でも視界に入っていた)家族は何を思っていたのだろうか…。東京オリンピック、女子ストリートでもイケてる滑りを見せてくれたアレクシス・サブローンや変人揃いのカンパニーFancy Lad構成員のコリン・フィスク、ジェレミー・ロジャースにライアン・ギャラント…。名スケーターが粒ぞろいの、今なお評価されている作品。
Skate Shop Video Awardsをきっかけに埋もれたスケーターが注目され、その後何年経っても語り継がれてたりする未来があったらサイコーですねっ! あ、良いお年を。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)
Skate Shop Video Awards 2023: www.vhsmag.com/skateshopvideoawards2023/