世界各地で長引く新型コロナ禍。学校が休みになり、この際にスケートボードを始めようというビギナーが増加しているようで、スケートショップの売上も軒並み上々だという話もちょこちょこ聞こえてきます。なんでもショップ・輸入代理店ともに欠品・品薄になるギアもあり売上アップでうれしい反面、困惑も続いているのではないでしょうか。ここ日本での急激な需要増に加え、各種ギアの製造を行なっている海外のメーカーや工場の一時閉鎖や輸入の遅れが在庫不足の主な要因。通常数ヵ月で交換するのがほとんどであるギアは言うまでもなく消耗品。それらが容易く手に入らないのは困ったことです。
どうやらそこにつけ込み、仕入れたギアをネットで高く転売しようとする残念な輩も存在するようです。例えば普段なら6千円前後で買えるウィールが2〜3万円という高値で販売されているといった具合。本格的にスケートをやっている人であればまずその異常な価格で買わないでしょうから、おそらくそれはビギナーに売りさばいてやろうという魂胆のようにも思えます。そんな「転売ヤー」からの直接的な被害を受けることはなくとも、やはりショップで必要なものが買えないのは迷惑な話。また転売ヤーと思しき者からの購入が続き、転売されるのを防ぐために通販サイトから一部商品を削除したというショップも。スケーターやショップの動きの妨げになるような転売行為を働いているのがリアルなスケーターでないことを願うのと同時に、「おうち時間」だかを利用して転売で暴利を貪るヤツらを個人的には許すわけにいきません。販売数が少なくプレミアが付くスニーカーなどと違い、いま高値で売られているのは僕らの生活必需品、スケートボードの足回りなのですから。
そして転売が悪だとすれば、高値でも買う消費者にも非があるのもまた事実。買う人がいないことには転売することだってありません。これからスケートボードを始めたいという方、ネットで買い物をしようとしている方は十分注意していただきたいものです。これから買おうとしている物の定価はいくらぐらいなのか。出品者は信頼できるのか。そして本当に今買わないといけない理由があるのか。ギアを製造する海外の工場も徐々に稼働を再開し始めているようです。少し待てば品薄だったマーケットにも再びギアが出回り、安心・安全にそれらを手にすることができるはず。要は、適切な価格でギアを購入できるようにするには、転売ヤーがスケートボード市場に参入させる隙を与えてはならないということ。
余談ながら、僕は神の存在をあまり信じてはいないのですが、ことスケートボードの世界に関してはその存在があってもいいのかなと思える経験もしてきました。スケート転売ヤーのみなさま。法律の範囲内でどう商売したって勝手ですが、その報いを受けることだってあると思っています。そんな商売をするのであれば、目の前の利益と、いつかやってくるであろう因果応報とを天秤にかけた上でやっちゃってくださいな!
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)