突然ですが、フェイキー方向からのノーズオーリーって何のことか分かりますか? 正解はズバリ、フェイキーオーリーです。
「だったら最初からフェイキーオーリーって言えよ!」とお叱りの声が聞こえてきそうな表現ですが、決して間違っているわけではありません。そして事実、もう何十年も前のことですが日本のとあるサーフ系マガジンのスケート記事の中で、マイク・ヴァレリーのフェイキーオーリーに対して実際に使われていた表現であったと僕は記憶しています。
基本間違ってさえなければいいのであれば、フェイキーオーリー=スイッチノーリーってことにもなっちゃうんですが、おそらくスイッチ系(ノーリー含め)が確立される前にフェイキーはその系統を確立していると思われますので、ここはひとつ統一規格とも言うべき「フェイキーオーリー」でいきましょうってことで落ち着くのですが、やはり物事を正しい名前で呼ぶというのは基本中の基本にして、とても大切なことだと思われます。そこで今回は、いま一度とあるトリックの名称についてしっかり考察して理解し、ひとつの確立された知識としての定着を試みていきましょう。
そんな今回のお題であるトリック名、それはBs 180 Nosegrind(バックサイド180ノーズグラインド)です。このトリックには個人的にかなり思い入れがあり、調子いい時は迷わずいけるのですが、最近は完全に僕の手元(足元?)を離れて一向に戻って来ません。そんなことはさておき、やはり未だこのトリックを「180ノーズピックグラインド」とか、「バックサイド・ノーズピックグラインド」と呼んでいる人が僕の周りにも散見されます。
この場合、まず「ピック」という単語でノーズグラインドを修飾することが矛盾しています。バンク面のトップやトランジションのコーピング部分に正面ないしやや斜めからアプローチして、バックサイドの動きからノーズのトラックをかけて面に戻る場合、これをバックサイドノーズピックと呼びます(トニー・カー参照)。仮にこれがグラインドの動きを伴うのであればそれはバックサイド・ノーズグラインドとなります。すなわち自分がアプローチしていくフロントサイド側(レギュラースタンスなら右手側)へバックサイド180してフロントトラックをかけてグラインドした場合、メイク時にスタンスをリバートさせてもそれは180ノーズグラインド(リバート)なのです(エヴァン・スミス参照)。ピックではありません(ピックは止まる場合に用いられます)。
同じバックサイド180気味のアプローチでボードスライドやノーズスライドをする場合はフロントサイド~となるのに、トラックが入るとバックサイド180ノーズグラインドなので、確かにややこしいのですが、やはりトリック同様にその名前も正しく正確にマスターすることを心がけましょう。
─Takayuki Hagiwara(FatBros)
Bs 180ノーズグラインド(リバート)がこれ。ピックじゃないよ。
まさにお手本なBs 180ノーズグラインド。
Bs ノーズピック。グラインドじゃないので注意。
いわゆる完璧なBs 180ノーズグラインドの人。