長いことスケートボード中心の生活を送ってきたため、普段接する人もその多くがスケーター。スケートボードが共通点にあるので少なくとも分かり合えるものがある、そのためコミュニケーションを取るハードルも下がり、「スケーター」という枠組みの中で生きるのに気楽さすら感じています。おかげで20個上のパイセンらとアツい話で盛り上がることもあれば20個下の少年らともアツい温度で接することも珍しくありません。一方でスケーター目線で言う「普通の人」…つまりはスケートしない人との繋がりもやはり生きていく中ではあるわけで、学生時代からの友人であったり、音楽的嗜好の合う人、仕事で出会った人だったりとそれはさまざまな形で存在しています。「スケーター以外の人とは分かり合えないぜっ」と斜に構えることもなく、当たり障りなく人並みに上手く付き合っているつもりです。
しかしながらスケーター社会で生きてきたためか、スケーターでない「普通の人」のやり方に疑問を感じることってのもあります。たとえば服選び。「あのブランドのが超良くてハマってて…」と友人の談。ちなみにそれは全国にショップ展開する某有名ブランドながら、スケーターが着てるのを見かけるのはほぼ皆無どころかむしろ毛嫌いされがちなカジュアルブランド。なのでそのブランドの好きなところを質問してみたところ「流行ってるから」という答え。そんな感じのことがこれまで何度かありました。「流行ってるからいい」「流行ってるから欲しい」…中高生とかじゃなく自分と同世代の人間がこれを当たり前に言っちゃうんだよなぁ。「そこに自分の考えはないのかね?」と思うわけです。流行りのブランドを着るにしても、スケーター的思考であればそのバックボーンやコンセプトがどうのとか、誰がやってるからとか、デザインや材質がどうだとか、何かしら理由を見つけ出して手にするってのが知らず知らずのうちに身についてるかと思うんです。なので「流行っているから」という理由でお気に召すのはどうも解せぬわけです。生活のそんなところにスケーター的やり方の違いを感じてしまうことがあるのです。
もう少し踏み込んでみましょう。スケートトリックだって急に流行り出すものが出てくるわけです。それをそっくりそのまま、無難なところでマスターしたところでそれまでなわけで、それを自分なりにどう解釈し、料理し、昇華させていくのかってのが本当の腕の見せどころ…なんてエラそーなこと言えるようなスケートの持ち主じゃないけど、日々の生活のひょんなところでスケートボードのあれこれから考え方のヒントが得られるような気がするんだよな。だからイイんじゃないっすか〜!
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)